NZ旅行(3日目ー③)ホビット村完結編〜ウェリントンへ飛ぶ

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ホビット村の散策はつづく

 

ひとしきりホビット村をまわったところで、待ちに待った場所へ到着した。

 

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グリーンドラゴンの酒場。

原作では緑竜館として知られ、映画でもホビットたちが集まる場所として描かれている。

ラストで、サムがロージーにアタックする場所でもある。ワクワクが止まらない。

(念のため。これは映画のセットではなく、観光用に後から作られた場所らしい。)

 

 

いつの間にか陽気なお兄さんガイドが消え、運転手だったおじさんガイドが何かを叫んでいる。

グリーンドラゴンに着いて、一瞬気を抜いたわたし。

大声を出すおじさん。

ちょっとだけ数字が聞こえたが、全く聞き取れなかった。おそらく出発時間に関する話だ。

 

 

刹那、これまでツアーに参加していたメンバーの位置を確認する。

3組の目立つカップルに目をつけ、彼らの行動をマークすることにした。

 

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ツアー代金には、グリーンドラゴンのドリンク一杯分が含まれている。

アップルサイダー(可愛い名前だがアルコール)を注文し、建物の中を散策する。

別料金で食べ物を注文することもできたが、出発時間が分からず、目印にしている人たちが急にいなくなっても困るので、飲み物だけをちびちび消費し続けた。

 

分からないことは ガイドに聞けよ、と思うだろうが、この時の私はポンコツの極み。

スマホという文明を握りしめているにもかかわらず、google翻訳を使うという発想がない。

ツアーに日本人がいたのに、助けを求めることもしない。

なんとかなるっしょの精神だったが、思っていた以上に気を張っていたらしい。

 

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店内には、グリーンドラゴンの間取り図、ビルボの鞄、シャイアの地図。

中学生の頃、この地図をひたすら眺めて過ごしたなあと思い出した。

指輪物語を読みながら、巻頭の地図を何度も見返した記憶がよみがえる。

そういえば、巻頭の地図では飽き足らず、結局中つ国の地図がどっさり載っている本を購入した。

実家に置きっぱなしで、しばらく読んでいない。

この旅行で各ロケ地をまわるのだ、帰ったら絶対に実家から取り寄せよう。

 

 

数人をマークしていたおかげで、グリーンドラゴンの中はもちろん、周辺でも十分に遊ぶことができた。

おじさんが再集合の合図を出したときも、いち早く反応。

大きなテントの中でバイキングの食事を楽しみ、お土産屋さんも存分に散策した。

あまりグッズにお金を投資しないタイプだが、ポストカードとマグネットを購入した。

 

夢のような時間は、あっという間に過ぎ去っていった。

 

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帰りは再びバスに乗って、オークランドまで戻ることに。

 

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このバスはホビトン内の移動に使うもの。別れを惜しみつつ撮影。

おじさんガイドが運転するマイクロバスに乗り換え、オークランドを目指す。

 

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通過する道のどこにでも羊がいた。

この写真はまだ密度が低い方。さすが、人口より羊の方が多い国だ。

 

帰りのバスで、おじさんガイドはほとんど喋らなかった。

この後、他のツアーに複数参加して気づいたのだが、どのガイドも行きはテンション高めに話してくるが、帰り道では唐突に無口になる。

参加者のことを気遣ってのことだろうか、どのツアーも共通だったのでおもしろかった。

確かに帰り道にはワクワク感がおさまってくる。

静かに感動を噛み締めながら帰路につくのは、冒険の終わりって感じがしてとてもいい。

 

今日は素晴らしい日だった・・・楽しかった1日が終わってしまう・・・と一抹の寂しさを感じつつ、窓の外を過ぎ去っていく無数の羊を眺めていた。

 

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目が覚めて、時計を見た。

おかしい、出発してからかなりの時間が経過しているのに、まだ市街地に入っていない。

なんだかトイレも行きたくなってきた。今どこだ?

 

google mapを開くと、ホビット村とオークランドを結ぶ最短距離のルート上から、大きく外れたところにいるではないか。

不安を抱えつつ、車は走行を続ける。

他の参加者は平然としている。ルートを大きく外していることに、誰も気づかないのだろうか。

 

突如、道のど真ん中で車が停車した。異国の地に一人で飛び込んだわたしは身構える。

おじさんガイドが叫ぶ。

 

「道を間違えたので戻るぜ!みんなスマン!(意訳)」

 

ま、まままままマジ!?!?

そんなことあるのか!?ほとんど分岐のない田舎道、しかも何回も行き来しているルートではないのか!?

そしてわたしはトイレに行きたい。ものすごくトイレに行きたい。

もう車に乗って2〜3時間近く経過している。トイレに行きたい。

 

Uターンするよりも、先に進んで分岐をうまく曲がったほうが早くオークランドにつけるらしい。

バスは何事もなかったかのように前進し続け、乗客も何事もなかったかのように眠り始めた。

おおらかでいい国だ。こういうのを求めて私はニュージーランドに来たのだ。

 

 

しばらくしておじさんが再び叫ぶ。

「バスルームに行きたいやつはいねえか?」

 

バスルーム??どうした急に??

もう心は全身全霊のパニック。トイレに行きたい。

周囲の外国人が「No」と口々に答えているのを横目に、「はっえっお風呂・・・?」と日本語を漏らす始末。

バスは何かの施設を通り過ぎて、オークランドへ迷いなく進んでいった。

 

 

恥ずかしながら後に調べてわかったが、バスルームはトイレのことだった。

トイレットじゃないのか・・・・と己の無知を嘆く。

英語をちゃんと知らないと、トイレに行くチャンスを逃すことにつながるのだ。

 

 

予定より大幅に遅れて、バスはオークランド市街地に入った。

おじさんガイドがまた喋り始めた。どうやら、乗客を希望の場所で降ろしてくれるようだ。

乗客ひとりひとりに、降りる場所のヒアリングを始める。

みんな◯◯施設の目の前で!とか、◯◯ストリートの角で!とか、結構細かく指定していて、OKじゃあ次にそこへ行くねって感じでバスが移動していく。

 

私はホテルに荷物を置きたかったので、「◯◯ホテルで!」と叫んだ。

 

 

「うーん、そこはダメだ。次の場所で降りてくれ。スマン。」

 

 

理由はわからなかったが、ホテルは容易に却下された。

なぜかスカイタワーの目の前で降ろされ、ホビット村ツアーは幕を閉じた。

もはや記憶が曖昧なのだが、確かスカイタワーのトイレに駆け込み、事なきを得た。

 

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日の入りが20時台のオークランド

道を間違えてしまっても、まだまだ明るい。

今日は夜の飛行機でウェリントンへ向かう。

お迎えの車が来るまで1時間ほど空いていたので、市街地で腹ごしらえをすることにした。

 

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オープンテラスの店では、観光客だけでなく地元のおばちゃんたちや、仕事帰りのサラリーマンが集まっていた。

そこら中にこんな感じのお店がある。最高だ。

 

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簡単な英語には少し慣れてきたので、店には緊張せずに入れるようになった。

白ワイン(1枚目、左はお通し)とフライドポテト(2枚目)を注文。

このポテトが最高に美味だった。

熱くてカリカリ、中はホクホクのポテトに、ハードタイプのチーズをスライスしてのせ、オリーブオイルと塩で味を整えている。

これは無限にいける。油に塩に脂肪、人類をダメにする成分の塊だ。

明らかに一人前の量ではなかったが、余裕で完食した。

 

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ホテルに戻ると、ツアー会社の担当者が迎えに来てくれた。

オークランド空港まで送ってもらう。英語のできない海外一人旅行初心者なので、大変ありがたいサービスだ。

 

余裕を持って検査場を通過したかったため、空港レストランでの食事は諦めて、早々に出発エリアへ向かう。

が、なぜか搭乗口についてしまった。保安検査場はどこだ?

うろうろしても見当たらず、まさかもしかして・・・と思ってググる

 

これはニュージーランド旅行最大級の衝撃だったのだが、どうやら国内線では荷物検査がないらしい。

 

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平和なニュージーランド、ありがとう。

オークランドを飛び立ち、ウェリントンへと向かった。

 

NZ旅行(3日目ー②)涙のホビット村

ご無沙汰しておりました。前回の更新から実に1年以上。

いつかNZに行く人のために、

指輪物語が最近恋しくなってきた人のために、

これから中つ国にハマる未来のファンのために、

薄れる記憶をもとに、旅の記録を残す。

 

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ついにホビット村へ足を踏み入れた。まずは、ビルボが走り出す道を通過。

うおおおおおここ見たことあるぞおおおおおおお!!!という、この先何度も味わうことになる感動に身を震わせる。

逸る気持ちが抑えられない。

道を抜ければ、夢にまで見たホビット村が広がっているのだ。

 

 

ちなみに前回の記事から、この写真まで、一枚も写真がない。

ホビトンの入り口も、受付も、休憩所も、観光地っぽいところをたくさん通過した。

でも一枚も撮っていない。

 

実はこの英語ツアー、ホビット村付近に着いてすぐに、新しいガイドが加わった。

20代後半くらいの、明らかに陽キャなお兄さん。このお兄さんがメインで案内してくれるらしい。

まだセットに足を踏み入れていないのに、お兄さんはすでに興奮していた。

みんなにいろんなことを話したくて仕方ない様子だった。

 

私はあのお兄さんほど、楽しそうに解説する人を見たことがない。

きっと本当に心の底から中つ国が好きで、ホビット村で働いていることに喜びを感じているんだろう。

自分の日本での生活を省みながら、ああいう生き方をしたら、人は長生きできるんだろうなと思った。

 

しかし、キラキラお兄さんには、ひとつ大きな問題があった。

恐ろしく早口で、何を言ってるのか、本当に分からなかったのだ。

私でも、バスのおじさんの英語は、かろうじで聞き取れた。

会話はできなくとも、今なんの話をしていて、自分が何を求められているのかが、僅かながらに分かった。

でもこのお兄さんは違う。

映画セットの入り口で話しているのだから、話す内容は入る前の注意点とか、今後のスケジュールとか、映画のちょっとした知識だろう。

そこまで予想できるのに、頭をフル回転させても、何を言っているのかわからなかった。

 

唯一まともに聞き取れたのは、いざ入園!となったときに、お兄さんに個人的に話しかけられた一言だった。

 

「Do you like the lord of the rings?」

 

満面の笑みを浮かべる彼に「ヒイェア」と中途半端な言語を返し、ホビット村へと進んだ。

頭は疲労困憊。写真は、一枚も撮っていなかった。

 

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石垣の道を抜けると、映画で見た世界がそのまま広がっていた。

ツアー参加者、13人くらい。ガイドを先頭に、みんなでゆるりと敷地内を歩いて行く。

ホビット村が目の前に存在していることはもちろんだが、20年前の映画のセットが、今なお綺麗に整備されて残っていることに感動を覚える。

 

突き抜けるような青空に、緑がキラキラしていた。

ホビットの家の丸いドアが、鮮やかな色を発して浮かんでいる。

風が吹いて、木々が揺れていた。

 

脳内では「The Shire」が流れている。人知れず、鼻歌も歌った。

 

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ついに到着した。ビルボの家。

(ひええええええそのまんま!!!!!!)と心の中で叫ぶ。

そうそうこれ、この張り紙を見に来たのだ。

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こういうディテールが残っているの、非常にテンションが上がる。

冒頭とは打って変わって、写真もたくさん撮った。

この辺りから、知らない外国人に写真をお願いできるようになった。

 

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13歳の時に初めて指輪物語を読んだ私は、レゴラスアラゴルンに夢中だった。

映画の好きな場面は、ペレンノールとモリア。戦闘シーンを擦り切れるほど見た。

しかし大学生になって映画を全て見返すと、不思議な現象が起こった。

ホビットが登場するところで涙が出るのだ。

 

ホビット庄が映って泣く。

ガンダルフホビットを見つめる優しい顔で泣く。

メリピピがいたずらするところで泣く。

(飛行機で号泣したのは過去記事参照)

 

大人になって心がどう成長してしまったのか分からないけど、とにかくホビットが登場するシーンでことごとく涙腺がやられるのだ。

しばらくその感情に理由が見つからなかったが、その数年後に原作を再読して、ようやくわかったことがある。

 

13歳の私には、なぜホビットが指輪を捨てに行ったのかを説明できなかった。

でも大人になっていろんな感情が理解できるようになった時に、ホビットだからこそ指輪を捨てることができたんだと分かった。

ホビットの無欲さ、おだやかさ、純真さ、かと思えば原作フロドのように高貴さを纏うこともある。

そうした中にある強さと美しさが見えた時に、私は泣くようになってしまったらしい。

 

 

何が言いたいかというと、NZの観光地で普通に泣いた。

興奮して泣いたんじゃなくて、自然に涙が出た。

NZに行きたいと願った15年分の重みはでかかった。

早口お兄さんの英語を遠くの方で聞きつつ、誰にも悟られないよう静かに泣いた。

 

 

 

 

NZ旅行(3日目ー①)英語ツアー初参加〜マタマタ到着まで〜

ニュージーランド滞在3日目。ついに聖地巡礼が始まった。

 

最初に向かうロケ地は、オークランドから150kmほど南下したところにあるマタマタ。

ホビット村があるところだ。

 

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今日からは英語ツアーの連続だ。

ホビット村ツアーは日本語ツアーも出ているが、最少催行人数(2人)に到達せずに中止になるかもしれない・・・ということで、数日前に旅行会社が英語ツアーに切り替えてくれていた。

日本語ツアーの申し込みは、私しかいなかったということだ。

シェア料理に続き、またもやひとり旅の洗礼を受けてしまう。

 

英語ツアーに切り替えたはいいものの、やはり英語への不安は大きかった。

バリバリの日本教育を受けて来た私のスピーキング能力は中学生レベル。

大学受験の時に使っていたリスニングのCDは、異常に眠くなるという理由から、学生時代に睡眠導入BGMとして使っていたくらいだ。英語力には1ミリも期待できない。

しかし聞き取れなくてもツアーガイドがいる。いくら言葉が通じなくても同じ人間だ。

ガイドがホテルに迎えに来てくれて、ホテルに送り届けてくれるのだ。

あとはホビット村の中で、ガイドにひたすらついていけば問題はない。

 

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英語ツアーに参加するにあたり、旅行会社の人からアドバイスをもらっていた。

 

「英語ガイドの場合、集合時間にいない参加者は置いていかれる可能性があります。日本ではありえないことですが、ここはニュージーランドです。必ず集合時間の10分前にはロビーで迎えを待っていてください。」

 

びびった私は、20分前からロビーをウロウロしていた。

しかしガイドが早く来ることはなく、予定時刻ぴったりにやって来た。

ガイドのおじさんが私の顔を覗き込み、ペラペラ喋ってくる。

久しぶりの唐突な英語攻撃に戸惑いながらも、恐らく私の名前の確認と今日の大まかなスケジュールを話していることはわかった。

私は空気を読むジャパニーズなので、何となく理解した気になって笑顔で頷いた。

 

 

マイクロバスに案内され、すでにバスに乗っていた8名ほどの参加者にぎこちない挨拶をした。

みんな英語ペラペラそうな顔をしている。緊張が走る。

特に座る場所は指定されなかったので、控えめなジャパニーズは後ろの方の席にちょこんと座った。

その後3つくらいホテルをめぐって、参加者は全部で12人ほどになった。

これからマイクロバスは2時間以上かけてホビット村を目指す。

 

ガイド兼運転手のおじさんが、陽気に今日の日程について話し始めた。

ついに憧れのかの地を踏む喜びと英語がわからない不安感を同居させたまま硬直する私をよそに、ガイドのおじさんはより早口になっていく。

何を言っているのか完全には理解できない。しかしこれから実践することは決まっている。

目立つことを避け、周囲の行動をよく観察し、はぐれないようについていくだけだ。

 

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バスはハイウェイに突入した。

しかし止まらないガイドの話。ここで消極的なジャパニーズを悲劇が襲う。

なんとガイドが参加者一人一人の名前を呼び、会話を始めたのだ。

 

「ハーイ!マイク!君はどこから来たんだい?そうかそうかアメリカか!アメリカのどこに住んでいるんだい?あ〜バージニアね!僕はそこに行ったことあるよ。〇〇が美味しかったな〜」

みたいな話を、参加者と一対一で繰り広げていく。

めっちゃフレンドリー。でもめっちゃ日本人泣かせ。

 

 

会話はどんどん進んでいく。

残り人数が少なくなって来た。いつ話しかけれてもおかしくない。

 

「ハーイ!〇〇!」

「ヤー」

「君たちはどこから来たんだい?」

「FROM JAPAN」

 

!?!?!?!?!?!

フロムジャパン!!!!????

 

なんと日本人女性二人組がいらっしゃるではないか。

しかも英語が堪能。ガイドとめっちゃ喋ってる。いいなあ(心の声)

一抹の羨ましさを抱えていると、ついに私の番がきた。

 

「ハーイ!〇〇!」

「はーい」

「ウェアディジュカムフロム」

「じっジャパン」

 

オーウ、あなたも日本人なのね!よろしくね!と言われて会話が終了。

前の日本人女性がたくさん日本について話してくれたのだろう。

ほっとした反面、ちょっと悔しい。

 

全員が自己紹介を終えると、ガイドはニュージーランドの地形や歴史についてひたすら話していた。

目の前の風景を指して、あの山が〜とか、この川は〜みたいな話もしてくれる。

なんとなくはわかっても、ちゃんと聞き取れないのが非常に残念だ。

 

バスは途中でトイレ休憩をとった。

カフェで売っているスコーンがめちゃくちゃ美味しそうだった。

他にもマフィンやクッキーなんかも売っている。

でもすぐに食べきれないし、車内で食べていいのかも分からない。

少しお腹は空いていたけど、食事は買わずにトイレだけ済ませた。

 

 

バスに戻ると、車内にはマフィンとコーヒーを頬張る参加者でいっぱいだった。

分からないことはちゃんとガイドに聞こうと心に誓った。

 

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バスはずんずんと進み、周囲は長閑な雰囲気に変わっていった。

Google Mapで確認すると、間もなくマタマタに到着しそうである。

まだホビット村にはついていないが、すでにホビット村の原型のようなものは感じる。

 

夢にまで見た中つ国の旅が、今幕をあけた。

 

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ホビット村入口付近

 

NZ旅行(2日目ー②)ワイヘキ島巡り

オークランドのホテルに荷物を預け、早速市内観光に向かう。

NZ滞在中はほとんどツアーに参加してロケ地を巡るため、市内を自由に観光できるのは今日だけだ。

日没時間は20時半ごろ。今からなら9時間ほど遊べる。

まずは港を目指した。

  

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オークランド中心地は坂だらけだった。街を歩くだけで息が上がる。

どこも起伏が激しいため、交差点でバスが横転するんじゃないかと心配になる。

気温は30℃を超えたが、空気が乾燥しているからか過ごしやすい。

 

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港町のオークランド中心地からは、フェリーでいくつかの島に渡ることができる。

野鳥の観察ができるマタンギ島、トレッキングが楽しめるランギトト島、ワイナリーが充実しているワイヘキ島など、島によっていろんな楽しみ方ができる。

ツアーによっては乗馬なんかもできるらしい。

私はのんびり過ごすことが目標なので、ワイナリーに行く事にした。

 

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私が乗ったフェリーはもっと小さいやつ

 

ニュージーランドでの初買い物はフェリーのチケットだった。

クレジットカードを自分で機械にさして、PINを入力すればすぐ決済できる。

全然下調べをしていない私はまさか自分でさすと思っていなかったので、売り場のお姉さんに優しく教えてもらった。

コンビニでも小さな商店でもクレカで決済できるらしい。

あまりに便利すぎる。日本でも早く普及することを願う。

 

オークランドの港からワイヘキ島まで、およそ45分間。

どこのワイナリーに行こうか、パンフレットを見て悩んでいた。

ワイヘキ島では周遊バスが出ていて、およそ30分間隔で島内に点在する停留所をぐるぐる回っている。

(のちに体験するが、時刻表は全く参考にならない。)

このバスをうまく捕まえて、ワイナリーを転々としたり、ビーチでのんびりしたり、カフェや買い物を楽しむのがスタンダードらしい。

 

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ホップステップ?みたいな名前のバスだった。島内を巡るバスは他にもありそうだった。

 

ワイヘキ島に到着すると、ちょうどバスが来ていた。

乗り方や降り方など全然わからないまま、他の観光客の動きを観察しつつバスに乗り込む。

二階建ての大きなバスで、チケットを見せると何度も乗り降りできるシステムだ。

一階にいるガイドさんが島について解説してくれてるけど、さっぱり理解できず。

寝不足でうとうとしながら、目星をつけていたワイナリーまで30分程度バスに揺られた。

 

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ワイヘキ島で最初に訪れたのは、Tantalus Estateというワイナリー。

バスを降りてから、ぶどう畑に囲まれた坂道を登って到着。

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ワイナリー入り口

 

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開放的な店内。立ち飲みコーナーもあった。

 

ワイナリーといっても、食事がしっかりとれるレストラン付きである。

名物のピノ・ノワールと、牛肉とサラダを注文した。

 

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牛タンとフルーツの甘酸っぱさが絶妙にマッチしてて美味しかった。

あとポテトサラダも日本で食べるものと全然違った。段違いに濃厚。

こんな素敵空間で最高のワインをいただきながら優雅なランチを楽しむなんて、数日前のアラサー会社員に想像できただろうか。

 

思わず写真を撮って友人や親に送った。

すぐに日本と繋がれる現代では、ひとり旅も寂しくないと感じ始める。

 

 

 

満腹になったところでまたバスに乗る。

(バスが行ったばかりだったので、30分くらい待った)

再び20分ほど揺られて、島の東側にあるビーチで下車した。

 

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ビーチを30分ほどぼーっと眺め、日本で溜め込んできた雑念を浄化していく。

 

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ふらっと入ったカフェで、海沿いの席をゲット。アサイードリンクとアイスを注文した。

ニュージーランド最高すぎない?という思いがこみ上げ、しばらく動けなくなる。

 

潮風が、これまで背負ってきた憑き物を落としてくれる気がした。

あまりにも尊いニュージーランドタイムを満喫し、カフェを後にする。

 

時間があればもっともっと島内を散策できるのだけど、今回は市内の観光もしたかったので島はこれにて終了。

再びバスに乗って島内をぐるっと周りながら、17時くらいのフェリーに乗って市街地へ戻った。

 

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街を歩いていると、叫び声が聞こえた。

 

空から男性が落ちてきて、ゴムで減速したところを下にいる係員が受け止める。

オークランドのシンボルであるスカイタワーでは、バンジージャンプが有名だ。

実際に人が落ちてくるところを、間近で見ることができる。

 

他にも、高層階の窓の外を歩くスカイウォークも人気らしい。

ニュージーランドにはテーマパークは1個しかなく、こうした身体を使ったアクティビティやスポーツが人気なんです、と旅行会社の人が言っていたのを思い出す。

 

ディズニーシーのタワーオブテラーで失神しかけた記憶をもつ私は、バンジージャンプは早々に諦め展望台へ行くことにした。

エレベーター案内係のおばちゃんに早口で話しかけられるも、笑顔と義務教育英語でなんとか乗り切る。

 

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展望台は360度ぐるっと歩くことができ、オークランド市内を一望できるところもあった。

展望台の下の階にカフェがあったが、がっつり食事ができるようなところではなかったので、ホテルに戻りがてらレストランに入ることにした。

このとき19時半ごろ。まだまだ外は明るい。

 

夕飯はスカイタワーの近くにある、Tony's Original Steak & Seafoodというお店へ。

事前に何も調べていなかったが、とにかくラム肉を食べたいと思って肉のお店に飛び込んだ。

 

ラムのローストと、ライスを頼んだ。

ニュージーランドの主食がジャガイモだと知らなかった私は、すでにラム肉の下に大量の芋が敷かれていることに気づかなかった。

 

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後から知ったのだが、ニュージーランドの外食メニューはシェアして食べる前提なので、ひとりで食べると量が多いんだそう。

ひとり旅にはきびしい現実である。

 

一日の最大摂取ポテト量が限界値を超えた。

 明日から、ようやくロケ地巡りです。

 

 

 

ニュージーランド旅程

ロードオブザリングのロケ地巡りを記すためのブログなのに、ニュージーランドそのものが最高すぎたせいで全然本編に触れられない。

オークランドに到着したところで、まずは今回の旅行の流れを簡単に書き留めておこうと思う。

 

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今回行ったのは4都市。オークランドから南下していきました。

 

 

1日目 夢の地への号泣フライト

夕方に成田発。飛行機泊。

ひたすらロードオブザリングを見て号泣&寝不足。

 

2日目 終日オークランド観光

オークランド着。(まだここまでしか書いてない)

港から約45分間フェリーに乗ってワイヘキ島へ。島でワイナリーやビーチ沿いのカフェを巡る。

夕方はオークランドの中心地にあるスカイタワーへ。

バンジージャンプが有名らしいけど、高いところが苦手なので登るだけ)

 

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オークランド市内。坂道が多い。

 

3日目 ホビット村の癒しがすごい

念願のホビトンへ!終日ツアーに参加。

本当は日本語ツアーが良かったのだが、参加者が私しかいないということで催行されず・・・

結論から言うと、英語ツアーでも十分楽しめたけど自分の英語力に絶望し、今後の英語ツアーに不安を残す。

ホビット村はそのまま映画から抜け出してきたのかと思うくらいホビット村でした。

夕刻、ウェリントンへ。ウェリントン市内泊。

 

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張り紙まで再現してあって涙必至

 

4日目 ロケ地の数々と蘇る名シーンに大興奮

ウェリントン近郊のロケ地巡りツアーに参加。

ホビットたちが黒の乗手から身を隠したあの窪みや、アンドゥイン、アイゼンガルド、裂け谷を巡る。

あとwetaのスタジオで大興奮。劇中の盾や剣がたくさん!!

夕刻、ウェリントン市内の観光を全くしないままクライストチャーチへ。

(一日増やしてウェリントン観光もありだったなと後悔)

クライストチャーチ泊。

 

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5日目 NZ旅のメインイベント!エドラスの丘へ

今回の旅で一番楽しみにしてたのが、クライストチャーチから参加するエドラスツアー。

エオウィン姫が大好きな私は、エドラスの丘に立つことが15年来の夢だった。

幸運なことに快晴に恵まれ、荒涼としたエドラスの景色を満喫。

空の青と、大地と山肌の茶色のコントラストが素晴らしかった。

クライストチャーチ泊。

 

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6日目 絶景巡りバスの旅

クライストチャーチからテカポ湖、マウントクック国立公園に立ち寄り、クイーンズタウンを目指す。

一日中バスに乗って移動。暇かと思いきや絶景続きで寝られず。

テカポとマウントクックは有名な観光地なので、日本人めっちゃいた。

レジで英語を喋ったのに日本語で返されて笑った。恥ずかし。

この辺りから外国人に囲まれても落ち着いて対応できるようになる。耳が慣れてきたのかも。

夜はクイーンズタウンの湖畔でビールをいただく。一生ニュージーランドで過ごしたいという思いが強くなる。

クイーンズタウン泊。

 

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マウントクック周辺にて。氷河が見えて興奮。

 

7日目 ようやく英語がわかるようになってくる

クイーンズタウン周辺のロケ地を巡る。

ワーグの戦いのロケ地を遠目に眺め、イシリアン周辺、アイゼンガルド、ボロミア最期の地などを訪れた。

午前と午後でガイドやメンバーが変わる関係で迷子になりそうになるも、偶然終日ツアーメンバーだったエリック(カモンベイビーアメリカ人)に助けられる。

全然喋れてないのに、英語を頑張っているのを褒めてくれたいい人。

夜はゴンドラに乗ってクイーンズタウンを一望できる展望台へ。

ニュージーランドラストナイトを飾るべく、ラム肉とワインをいただく。

クイーンズタウン泊。

 

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一行の離散の地。大好きすぎるシーン。

 

8日目 悲しみに包まれながら北方へ旅立つ

早朝にクイーンズタウンからオークランドへ移動。

国内線から国際線に乗り換え、成田に向かった。

帰りの飛行機でもまたロードオブザリング。巡ったロケ地が映るシーンを中心にして、感動を噛みしめる。

残りの時間はキングスマンを見た。めちゃくちゃ面白かった。なんで映画館で見なかったんだ。

 

 

8日間お疲れ様でした。

どんなに楽しい旅でも、成田に着いて「おかえりなさい」って書いてあるの毎回感動しちゃう。

本当に素晴らしい旅でした。どれだけ素晴らしかったのか、時間はかかりそうだけど少しずつ記録できればと思います。

NZ旅行(2日目ー①)オークランド空港編

朝9時、ほとんど眠れないままオークランド空港に到着した。

寝不足で頭はまわっていないが、今日から丸々6日間中つ国を堪能できる喜びを噛みしめる。

 

とはいうものの、初めてのひとり海外旅行はやはり不安だ。

初日は空港の到着ロビーに、旅行会社の方が迎えにきてくれることになっていた。

 

迎えに来てくれたのは若い女性だった。

ロードオブザリングがお好きなんですってね!」と言われ、少し気恥ずかしくなる。

確かに今回はロードオブザリングのロケ地巡り(というかほぼロケ地しか行かない)のツアーを組んでもらったのだ。至極まっとうな挨拶である。

 

 

「あ、早速あそこで写真撮りましょう!」と言われて目を向けると・・・

あ〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

これは・・・写真でしか見たことのないあの有名な・・・

 

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ドワーフの石像〜〜〜〜

旅行会社の人に石像とのツーショットも撮ってもらった。

寝不足とむくみでひどい顔だった。悲しい。でも嬉しい。

 

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「On loan from Middle-earth」

そうですか、中つ国は存在するんですね・・・・

 

 

 

これまでの人生で出会った、ロードオブザリングが好きなリア友は多くない。

8年ほど前にツイッターを始めるまで、ロードオブザリングを語れる人は母しかいなかったのだ。

好きな映画は?と聞かれると、「あの、ロードオブザリングって映画なんですけど・・・」と自信なく言うこともあった。

さらに原作の指輪物語なんぞ、読んだことある人には滅多に出くわさない。

自分の好きなものが理解されない、その悲しさを何度も味わってきた。

 

なのにこの国ではロードオブザリングが強い市民権を得ている。

きっと「ロードオブザリング?あのめっちゃ長くて難しいやつでしょw」と言われることもないし、「あの魔法使いなんだっけ?ダンブルドア?」と言われることもないのだろう。

 

 

夢のようなところに来てしまった。

目頭が熱い。

 

 

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ドワーフに心奪われながら、旅行会社の人に連れられて空港を出た。

暑い。そして日差しが痛い。

オゾンホールがあいている関係で、紫外線の強さは日本とは比べものにならないらしい。

帽子だけじゃなくて、サングラスも持ってくればよかった。

 

車でオークランド市内のホテルまで案内してもらった。

ホテルに荷物を預けた後は、一日中フリータイムの予定だ。

オススメの観光地を教えてもらったり、ニュージーランドの小ネタを教えてもらったりした。

 

 

車内で聞いた話で一番衝撃的だったのは、ニュージーランド人は本当に残業しないということ。

もちろんそういった話を聞いたことはあったが、ジャパニーズ社畜マインドに毒されている私は、「いやいや、ゆうてもそれなりに残業しなきゃ仕事回らんだろ〜」と思っていた。

でも本当に残業しないらしい。3時半には帰宅ラッシュが始まるんだとか。

 

 

「仕事が終わらなかったらどうするんですか?」

「終わらなかったら翌日やればいいんです(にっこり)」

 

 

 

スマホには職場からのメールが届いていた。

でもわたしが今いるのはニュージーランド

終わらない仕事は明日やればいい。

 

スマホを閉じ、オークランドの中心地に入って行った。

 

 

NZ旅行(1日目)オークランドへ飛ぶ

成田からオークランド(北島にあるNZ最大の都市)までは、1日1本の直行便が出ている。

フライトは18時30分。

 

フライトの3時間前に着いていれば余裕だとネットに書いてあった。

しかし初めてのひとり海外にビビり気味の私は、14時には成田の地を踏んでいた。

 

予約していたWi-Fiを受け取り、ニュージーランドドルに両替。

(後述するが、ニュージーランドはほぼどこでもクレジット決済ができるので、現金は全く必要なかった)

あとは売店をウロウロして時間を潰し、ちょっとだけ仕事のメールをさばいた。

こんなギリギリまでメールしてくるなよ!と心の中で悪態をつき、これから1週間は絶対に返信しないと誓った。

 

チェックインは2時間前から行うことができる。

セルフのチェックイン機械(?)をいじり、質問に答えていく。

爆発物など持ち込み不可のものを入れていませんか?という質問に対し、なぜか「Yes」のボタンを押してしまった。

爆発物を持っていると思われ、機械でのチェックインができなくなる。

近くにいたスタッフさんに助けを求め、有人カウンターを案内してもらった。

サンキュー日本。NO危険物。

 

ていうか日本で手こずるなよ、と自分に失望する。

 

 

ニュージーランド航空のチェックインカウンターには、ヒツジとキウイ(NZの国鳥)のぬいぐるみが鎮座していた。

あまりの平和さに、昨日まで本気で仕事をしていたことが嘘のように感じる。

 

彼らの写真を撮っていいのだろうか・・・と悩んでいるとチェックインの手続きが秒速で終わった。お兄さん仕事が早い。

ああ・・・これから私は憧れのニュージーランドへ向かうのだ。

 

意気揚々と手荷物検査を通過したところで、マイレージカードの提示を忘れたことに気がついた。

 

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私が搭乗した便は、女性よりも男性の客室乗務員の方が多かった。

ジェイソン・ステイサム似のがっちりしたイケメンと、ジョセフ・ゴードン=レヴィット似のスマートなイケメンが荷物のフタを閉じていく。

 

ニュージーランド航空といえば、おもしろ機内安全ビデオが有名だ。

過去にホビットをテーマにしたものも流れていた。(多分YouTubeで見られる)

客室乗務員がエルフに扮したり、ピータージャクソン監督が出演したりする、ファンなら是が非でも見たいあのビデオだ。

今回は少年のラップ調なビデオだったが、普段ならほぼ見ない安全ビデオをついつい見てしまう。

行動経済学の応用成功例だなあなどと考えていたら、飛行機が動き出した。

 

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18時半に成田を離陸した飛行機は、10時間半ほどかけてオークランドを目指す。

到着は現地時間の朝9時。

つまり飛行機で寝ないと、深刻な寝不足を抱えたまま観光をしなければならない。

 

最近の映画を一本見たら寝ようと思った。

しかしここはニュージーランド航空ロードオブザリング三部作とホビット三部作が当たり前のようにラインナップされている。

ボヘミアンラプソディに伸ばしかけた指を引っ込め、旅の仲間をそっと押した。

 

全篇号泣必至の王の帰還に比べ、旅の仲間はわりと落ち着いて見られる。

と思っていたが、フロドがガンダルフに抱きつくところで泣いた。引いた。

現実味はないが、私は今、このホビット庄に向かっているのだ。

ホビット庄の緑が、食べ物を愛するホビットが、そしてホビットを慈しむガンダルフ尊い

 

このままのテンションで全部見たら、どう考えても明日しんどい。

初日からこれはまずいと思い、好きなシーンだけ選んで見ることにした。

ホビット庄の花火、マゴット爺さん、踊る小馬亭、アラゴルン初登場、ピピンの頭にリンゴ、風見が丘、ブルイネンに裂け谷・・・

 

要するにほぼ全部見た。

裂け谷出立直後、旅の仲間のテーマに乗せて一行が列になって丘を登ってくるあのシーンで今日イチの号泣。

インフルエンザ予防でつけていたマスクが使い物にならなくなる。

ホビット、人間、エルフ、ドワーフ、イスタリが一緒に旅をしているというその事実が尊い(2回目)。

モリアは4回見たし、アンドゥインからボロミアの死までは3回見た。

フロドがサムを助けるところも2回見てようやく解放。

 

 

二つの塔が幕を開けた。

 

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ニュージーランド航空は、機内食が美味しかった。

 

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パンとジャガイモと鶏肉がメイン。他にチーズとクラッカーも。

ニュージーランド産のワインが飲めるとのことで、ピノ・ノワールを頼んだ。機内食が終わってからも、客室乗務員がワインを注ぎ歩くという最高のサービスだった。

 

ワインを飲めば眠くなるかと思ったが、もう心は西方の彼方へ。

二つの塔を見続けた。

結局2時間くらいしか眠れなかった(ばか)。